薬王寺

桜川市青木の薬王寺。
小さな檀家寺だ。
だが、古びた山門のすぐ隣には二宮尊徳の像がある・・。

青木の集落の桜川に二宮尊徳が堰を造ったそうだ。だが、大正5年の大洪水で堰は壊れた。
この山門は、壊れた堰の木材を使っていると・・。よく見ると、山門の柱には、穴があいていたり、切れ込みがあったり、それらが堰の材であったことがわかる。
土地の人たちは二宮尊徳が造ってくれた堰への恩や想いを残そうとしたのだろう。

この山門のある薬王寺は小さなお寺。花や樹々がきれいだ。
古いお寺で、今度うかがう月山寺や三重塔が優美な薬王院と共に、いずれも天台宗のお寺で、奈良時代東日本に仏教の教えを広めた徳一(とくいつ)が開いたお寺とされる。
住職さんは、本堂に招いてくれ、二宮尊徳が造った当時の壊れる前の堰の写真を見せてくれ、そして「このお寺は集落のみなさんのお寺なんですよ。ほら、あそこも、あれも、ここの集落の方がしてくれた」と話してくれた。
この山門の気持ちは、寺中に充ちていた。

桜川に二宮尊徳が造った堰は、今は造り直され、美しい風情をみせている。
この青木の堰あたりには、桜の木が植わっている。
その昔、ここの桜が吉野に送られたのだと、堰のところの解説板に記されていた。